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小売業界における顧客体験(CX)向上のカギとは?5つの戦略と事例を解説
- 流通・小売・外食・サービス産業の最新動向
コロナ禍もようやく落ち着き、社会は日常を取り戻しつつあります。
「非接触」がキーワードとなったコロナ禍は、様々な業界に顧客との「接点」の重要性を気づかせてくれました。
それは、小売業界でも同じです。いま小売業界では、顧客との関係性を深める「顧客体験」、Customer Experience(CX)が注目されています。
本記事では、小売業界における顧客体験(CX)の重要性を考察すると共に、顧客体験(CX)向上のカギとなる5つの戦略と企業の事例を解説します。
顧客体験(CX)の重要性
顧客体験(CX)とは、顧客が商品やサービスの情報を知り購入に至るまでの「体験」のことであり、企業と顧客の「接点」における「顧客の経験」のことです。接点には実店舗だけでなく、WebサイトやSNS、アプリなども含まれます。
多様な商品・サービスが提供される時代。このような中で顧客のニーズを満たしていくには、物質的な部分だけではなく、顧客の心理的な満足感を高める取り組みが必要です。
それには、商品やサービスの情報を顧客に提供し、購入してもらうまでの「体験」をデザインすることが求められます。これが顧客体験(CX)であり、商品やサービスの差別化、そしてブランディングにとって欠かせない取り組となっているのです。
顧客体験(CX)を向上させる5つの戦略
小売業界における顧客体験(CX)を向上させる5つの戦略を解説します。
1.オムニチャンネル
店舗と顧客をつなぐチャンネル(接点)は、ネット環境の発達と共に多様化しています。実店舗はもちろん、「EC・アプリ・Web広告・SNS・メール」といった様々なチャンネルで集客・販売が行われています。
オムニチャンネルとは、多様化したチャンネルを顧客が意識せず、商品やサービスを購入できるシステムのこと。
各チャンネルが効果的につながることで、顧客にとって利便性の高い購買環境を提供します。オムニチャンネルによって、顧客の細かいニーズに対応した情報提供が可能になり、顧客体験(CX)の向上につなげていけるのです。
2.パーソナライズドマーケティング
パーソナライズドマーケティングとは、すべての顧客に同じ情報を発信するのではなく、一人ひとりのデータに合わせて、商品やサービスの情報を発信するマーケティング手法のことです。
顧客の属性や興味、購買履歴や購買行動、ニーズなどをもとにマーケティングを展開します。
パーソナライズドマーケティングによって、顧客満足度やエンゲージメント、コンバージョン率を高めることができると共に、そのプロセスを通して顧客体験(CX)が向上していくのです。
3.店舗デザインの最適化
店舗デザインの最適化とは、顧客が「何を買ったか」と同時に「どこで買ったか」を印象づける手法です。それには、店舗デザインにこだわる必要があります。
・外観
・素材
・周囲の建物や風景との調和
・内装
・色彩
・照明
・動線
このようなポイントを意識し、ターゲットとする顧客に合わせて各部のデザインを構成します。店舗デザインを最適化させることで、「店舗に行く」ことが楽しい体験となり、集客力を高めながら顧客体験(CX)を向上させることができるのです。
4.迅速なカスタマーサポートの構築
カスタマーサポートとは、顧客からの問い合わせに対応することです。
・FAQサイト(顧客からの「よくある質問」に対する回答をまとめたサイト)
・お問い合わせフォーム
・チャットボット
・SNS
・メール
・電話
カスタマーサポートは、「顧客の声」に対応する場であり、企業イメージを左右する重要な役割を持ちます。
迅速なカスタマーサポートを構築することは、顧客体験(CX)の向上につながる不可欠な戦略です。
5.フィードバックの活用
フィードバック(カスタマーフィードバック)とは、顧客が寄せる商品やサービス、店舗に対する反応のことです。カスタマーサポートに寄せられる「顧客の声=フィードバック」は、顧客の「イメージ・好き嫌い」、自社の「強み・弱み」を知る絶好の機会となります。フィードバックを営業戦略にどう活かしていくのかは、顧客体験(CX)を向上させる重要なカギなのです。
顧客体験(CX)を向上させた企業の成功事例
ここでは、顧客体験(CX)を向上させた企業の成功事例を見ていきましょう。
事例1.丸井グループ
丸井グループでは、顧客体験(CX)の向上に向け「デジタル・ネイティブ・ストア」を推進しています。完全にオンライン化されたアフターデジタル時代では、実店舗とWebサイトの関係性が逆転するという認識のもと、実店舗による販売に捉われないマーケティングを展開しています。
その中で、実店舗ならではの役割を追求。デジタルネイティブ世代に向けた人気ブランドとのタイアップ戦略で、実店舗だからできる体験の創出やコミュニティーづくりに取り組んでいます。さらに、「D2C(Direct to Consumer)」や「サブスクリプション」といったサービスを導入し、アフターデジタル時代の実店舗に新たな役割を持たせることで、顧客体験(CX)の向上を目指しています。
事例2.レノボ・ジャパン
レノボ・ジャパンは、顧客体験(CX)の向上を最優先課題として取り組んでいます。商品の質や性能に差がなくなる「コモディティ化」が進むパソコン業界にあって、今後の存続を目指すのが目的です。
方策として、「レノボ・カスタマーエクスペリエンス・ビジョン」を打ち出し、顧客から「聞く・学ぶ・改善する」を徹底。フィードバックを真摯に受け入れ、顧客目線を重視する企業文化の醸成に努めています。
この取り組みにより顧客体験(CX)が向上し、コモディティ化を防止すると共に、他社と差別化に成功しています。
いま顧客体験(CX)に精通する人材が求められている
小売業界における顧客体験(CX)向上のカギを解説しました。
差別化や高付加価値化が叫ばれる昨今、小売業界の顧客体験(CX)を向上させる取り組みは、その重要性を増していくでしょう。
いま小売業界では、顧客体験(CX)に精通したエグゼクティブ人材が求められています。
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