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2023年の小売業界はどうなる?市場環境やトレンド、課題や対策を徹底分析!
- 流通・小売・外食・サービス産業の最新動向
新型コロナウイルスのパンデミックに翻弄された続けた小売業界はアフターコロナを迎え、ようやく明るさが見え始めています。しかしコロナ禍の3年間は様々な領域を変化させ、ニューノーマルな社会を作り上げてきました。
大きく変化した市場環境の中で、小売業界はどう変わっていくのか。今回は「2023年の小売業界はどうなる?」と題して、市場環境やトレンド、課題を解説。これから求められる対策と共に、2023年の小売業界を徹底分析します。
2023年の市場環境・課題を考察
新型コロナウイルスのパンデミックは、私たちの生活のみならず価値観をも変えてしまうほどのインパクトをもたらしました。小売業界にとっても同様で、様々な「制限」による消費者の行動変容により「変化」を余儀なくされています。ここでは2023年の市場環境を概観すると共に、小売業界が抱える課題を考察します。
続くオンライン化の流れ
アフターコロナを迎えた今、街には人の流れが戻っていますが、だからと言ってオンライン化が後戻りすることはないでしょう。これからもECの利用は拡大し、今後はさらにシニア層にも広がっていくことが考えられます。
変わる消費者のニーズ
高品質化で製品ライフは長くなっているのに対し、製品トレンドは逆に短くなり、同じ仕様の製品を長く作り続けることが難しくなっています。また、「所有から共有」「サブスクリプション」といった流れもあり、モノが売れない時代なのです。必要なとき必要なだけ、商品やサービスを利用できるシステムが広がりを見せています。
インフレによる家計の圧迫
日本は長くデフレが続いていましたが、状況は一転。日米の金利差による円安、地政学的リスクの顕在化による資源価格の高騰などによってインフレへとシフトしています。家計への影響は大きく、長く続いたデフレマインドもあって「より安く」を求める消費行動は続いていくと見られます。
人手不足の拡大
小売業界の人手不足は今に始まったことではなく、もはや慢性的な状態に。これからも人手不足は拡大の一途を辿り、少子高齢化の中で人材の獲得競争は激しさを増していくでしょう。
ここまでで小売業界の市場環境、そして課題を概観しました。それでは、このような状況にどう対処していけば良いのか。2023年に小売業界が取り組むべき対策を次項で考察します。
小売業界が取り組むべき対策とトレンド
小売業界は今後どういう対策が求められるのでしょうか。ここでは、次の7つのトレンドを紹介します。
- オムニチャンネル
- パーソナライゼーション
- AIによる需要予測
- 決済方法の多様化
- サプライチェーンマネジメント
- サステナビリティ
- 人材育成
それぞれを詳しく解説します。
オムニチャンネル
ネット環境の発達とともに、販売サイドと顧客を結ぶチャンネル(接点)が多様化。実店舗はもちろん、EC、アプリ、SNS、メール、Web広告など、様々なチャンネルで集客が行われています。
オムニチャンネルとは、多様なチャンネルを顧客が意識することなく商品を購入できるシステムのこと。各チャンネルが有機的につながり、顧客にとってより利便性の高い購買環境を提供します。
「ECで注文→実店舗で受け取り」「実店舗で商品を確認→アプリで注文」「実店舗の在庫状況をアプリで確認」など、顧客の細かいニーズに対応し購買行動を素早く取り込むために、オムニチャンネルは極めて有効なのです。
パーソナライゼーション
パーソナライゼーションとは、顧客一人ひとりの「属性・購買履歴・ニーズ・ライフスタイル」などのデータに合わせた、商品やサービスを提案するマーケティング手法のことです。例として、ECによって蓄積したデータをもとに「レコメンド:おすすめ」商品を表示させることがあげられます。
パーソナライゼーションにより顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)を高めることで、顧客満足度やエンゲージメントの向上、単価やコンバージョン率(購入や申込みの数値)アップ、ニーズの掘り起こしといった効果が期待できます。
AIによる需要予測
効率的な店舗運営を目指す際に活用したいのが、AIによる需要予測です。これまで、ベテラン担当者の「経験」や「カン」に頼る部分が大きかった需要予測には、予測が外れたり属人化してしまったりといった問題がありました。しかし、「売上実績・売上傾向・天候・イベント」など、様々なデータをAIが分析し、高い精度の予測が可能となっています。
AI需要予測を活用することで、「業務の効率化、販売ロスの最小化、過剰在庫の防止、仕入れの最適化、効率的な人材配置」などの効果が期待できるのです。
決済方法の多様化
「現金、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネー、ICカード、顔認証」など、決済方法が多様化しています。今後は、キャッシュレス決済が主流になっていくでしょう。多様化する決済方法に対して、積極的な対応が求められています。
サプライチェーンマネジメント
サプライチェーンとは日本語で「供給連鎖」と訳され、製品の「原材料調達→製造→管理→配送→販売→消費」までの流れのこと。サプライチェーンマネジメントとは、その流れの各プロセス(取引き)を最適化する取り組みのことです。
人手不足やECの拡大、またグローバル化といった状況に対応していくには、サプライチェーンの各プロセスで情報を共有し、全体最適を目指すサプライチェーンマネジメントの実現が必要不可欠。業務効率の改善やコスト削減、生産性の向上といった効果が期待できます。
サステナビリティ
「持続可能性」を意味するサステナビリティへの取り組みは、小売業界でも重要な意味を持つようになりました。「CO2排出量の少ない製造工程の商品を選びたい」「リサイクルに前向きな企業の商品を買いたい」といった顧客ニーズに応える企業姿勢が求められています。「環境負荷の低い商品」「商品の廃棄ロス削減」「脱プラスチック」など、ますます求められていくでしょう。
人材育成
小売業が取り組むべき様々な対策を見てきましたが、それを実現していくのは「人材」に他なりません。人手不足の中、従業員を企業に貢献する人材として育てる「人材育成」が極めて重要になっています。「OJT・Off-JT・eラーニング・SD(自己啓発)」といった、施策への積極的な投資が求められています。
注目される取り組み事例を紹介
ではここで、小売業界が抱える課題に取り組む企業の事例を紹介します。
取り組み事例①:オムニチャンネル
良品計画が運営する無印良品では、「MUJI Passport」と呼ばれるスマートフォンアプリを活用し、オムニチャンネルを推進しています。顧客は、アプリによって店舗や在庫の検索が可能。会計時に貯まる「マイル」といわれるポイントが大好評です。
マイルが貯まることによって、会員ランクやボーナスポイントが上がっていき、ポイントに応じたプレゼントが用意されています。店舗にとっては、顧客や在庫の管理、そして「ファン」作りまでが一元的に可能となり、業務の効率化やマーケティングに効果をあげています。
取り組み事例②:パーソナライゼーション
スターバックスでは、顧客データの詳細な分析をプロモーションに活かしています。公式アプリを使えば、決済や新製品情報の取得が可能。蓄積された購買データから開発されたアプリを通して、定期的にスイーツのクーポンを提供したり、クーポン情報を届けたりしています。実店舗とアプリ情報を連携させたパーソナライゼーションによって、顧客満足度の向上を実現しているのです。
DX化への対応と人材育成が鍵
2023年に向けた小売業界の市場環境や課題、対策やトレンドを見てきました。小売業界は多くの課題を抱え、大きな変革期にあります。変化に対応していく鍵は、「DX化」と「人材育成」でしょう。
オムニチャンネルをさらにシームレスにした「OMO」、オンライン情報から実店舗に集客する「O2O」、さらにメタバース、AIを使ったダイナミックプライシング(需要供給のバランスに応じた変動料金制)も広がることが予想されます。こういった、DX化を進めていくのは人材です。人材に対する投資が、ますます重要性を増していくでしょう。
小売業界には人材が求められています。小売業界は「モノを売る」だけではなく、多くの可能性、そして「働きがい」を秘めています。小売業界に興味を持たれた方は、転職支援サービスのミデアにご相談ください。小売業界に太いパイプを持つミデアが、コアな情報であなたの転職をサポートいたします。